プロジェクトリーダーの島谷からのメッセージページです。
緑の流域治水などについて考えたことなどをお知らせします
なぜ拠点を形成したのか?
2021年11月に本拠点は発足し、現在鋭意、拠点形成に努めています。
研究者サイドからの経緯を少し、ご説明します。
2020年7月4日の球磨川洪水発生直後に私たちは流域治水研究会を結成し、同年7月13日に熊本県知事あてに「球磨川流域の持続的発展のための流域治水に関する提言」を行いました。その延長線上にこの拠点はありますが、その時の研究会のメンバーが中心となって本拠点は形成されています。
流域治水という言葉は滋賀県が最初に使った言葉ですが、ほぼ同時期に福岡市の都市河川である樋井川でも流域治水市民会議が開催され活動を始めました。滋賀県の流域治水は県の水害対策としては非常に先進的で、支流や水路まで含んだ県全体の流出モデルを構築し、ハザードマップの公表や被害を受ける可能性が高い場所からの移転なども含む、総合的な対策となっています。どちらかというとソフト対策が中心の流域治水といえると思います。
一方、樋井川の流域治水は市民側からのボトムアップ型の流域治水対策ということができます。小さな流出抑制を積み重ね、結果として洪水を防ぐ、全員参加の取り組みによる流域治水対策です。グリーンインフラなどを活用した、ハード対策が中心の流域治水と言えると思います。
面的な対策の有効性については、これまで証明が難しかったのですが分布型のモデルが開発されてから、都市域においては小さな流出抑制の積み重ねによって洪水流出量が低減されることが明らかとなってきました。
地域共創拠点運営機構 機構長
島谷 幸宏
Profile
1955年 山口県下関市生まれ。
建設省土木研究所、国土交通省九州地方整備局の武雄河川事務所長を経て九州大学 教授
現在、熊本県立大学特別教授、大正大学特任教授