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あさぎり拠点に新しい竹筋コンクリート舗装の駐車場と雨庭ができました

2025年8月、地域共創流域治水あさぎり拠点の駐車場に、雨庭と竹筋コンクリート舗装の駐車場が一体となった「あさぎりの竹しずく|竹と雨を楽しむグリーンインフラ駐車場」が完成しました。

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あさぎりの竹しずくは、鉄筋の代わりに「竹筋」を用いた透水性舗装駐車場と雨庭を一体にした流域治水の新しい実践の場です。地域の工務店の協力のもと、多様な専門家と地域の職人が力を合わせてつくりあげました。竹が水を導き、雨滴が庭にしみこむ——自然と共にある暮らしへの、小さな提案です。


研究課題4のリーダーである地方経済総合研究所が中心となり、熊本県立大学、熊本グリーンインフラ研究会、近畿大学、お庭やさんほうき、㈱ニューテック康和、あさぎり町放置竹林再生協議会、㈱地方総研、あさぎり町地域おこし協力隊、信州大学から集まったメンバーが議論を重ね、実現しました。そして敷地をご提供くださった勇工務店さまのご尽力とご協力で本プロジェクトは実現しています。


この場所では、屋根に降った雨は雨樋を伝い雨庭に流れこみます。

元々あった竪樋を3つに分岐し、雨庭に雨を流しています。一つは元々の竪樋のまま。向かって右に分岐した先は雨水タンク、左に分岐した先は雨水管を伝い鹿威しに落ち雨庭に流れます。雨水タンクに使用している樽は、焼酎樽として使われていたもので倉庫で未利用になっていたものを再利用しています。雨水タンクがいっぱいになったら、オーバーフロー管から駐車場表面に設けた水路へ水が流れ、最終的には雨庭に流れ込みます。左に分岐した雨水管は、一般的な塩ビ管と透明なパイプを組み合わせています。透明にすることで水の流れを可視化しています。一方でグレーの塩ビ管を目立たたなくさせるため竹を組み、川の流れをイメージした壁面デザインにしています。また、今回のプロジェクトでは、竹筋の橋梁にも挑戦しています。橋梁部にも車は乗れるよう構造設計をしています。雨庭に竹筋コンクリートの橋が架かるようなデザインになっています。


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平面図
平面図
平面図(水の流れ)
平面図(水の流れ)


ここからは施工の様子を写真で紹介します。

アスファルト掘削後、造成後の様子
アスファルト掘削後、造成後の様子

型枠施工
型枠施工
路盤施工。地面に刺さっている塩ビ管は、水位計を入れるためのものです。
路盤施工。地面に刺さっている塩ビ管は、水位計を入れるためのものです。
雨庭の土壌改良。竪穴に木杭、砕石、竹炭、落ち葉、藁などをすき込み菌糸の成長を促します。
雨庭の土壌改良。竪穴に木杭、砕石、竹炭、落ち葉、藁などをすき込み菌糸の成長を促します。
同時進行で竹筋を組みます。
同時進行で竹筋を組みます。
竹筋を型枠内に配置
竹筋を型枠内に配置
透水のための竹筒が倒れないよう重りを上に乗せました。
透水のための竹筒が倒れないよう重りを上に乗せました。
橋梁型枠の中にも竹筋を入れます
橋梁型枠の中にも竹筋を入れます
コンクリート打設
コンクリート打設
乾燥後。穴が開いているところには、竹筒を入れています。雨が下の路盤まで浸透するようにするためです。
乾燥後。穴が開いているところには、竹筒を入れています。雨が下の路盤まで浸透するようにするためです。
雨水が流れ込む池を配置します。
雨水が流れ込む池を配置します。
植栽前の様子。竹柵は土留めの役割も担っています。
植栽前の様子。竹柵は土留めの役割も担っています。
植栽はみんなでしました。
植栽はみんなでしました。
植栽中の様子。
植栽中の様子。
壁面の竹を施工している様子。
壁面の竹を施工している様子。
橋の架設
橋の架設
橋が架かり、完成
橋が架かり、完成
大雨時、雨庭が溢れたら写真手前側に流出します。
大雨時、雨庭が溢れたら写真手前側に流出します。
壁面の仕上がり
壁面の仕上がり
植栽は、多様な品種を採用しました。生き物を誘引したり、庭として楽しめるものを選定しました。
植栽は、多様な品種を採用しました。生き物を誘引したり、庭として楽しめるものを選定しました。
竹筋コンクリートの橋梁は、雨庭の上に架かっています。
竹筋コンクリートの橋梁は、雨庭の上に架かっています。
かつて焼酎樽として使われていいた樽は、存在感のある雨水タンクに生まれ変わりました。
かつて焼酎樽として使われていいた樽は、存在感のある雨水タンクに生まれ変わりました。
竹を楽しむ工夫のひとつとして鹿威しも置いています。
竹を楽しむ工夫のひとつとして鹿威しも置いています。

今後は、大雨時の水位の変化を計測したり、竹筋の強度を調査し、雨庭とともに竹筋コンクリートの普及にも取り組んでいきます。


また、視察も積極的に受け入れています。「あさぎりの竹しずく」がある熊本県球磨郡あさぎり町周辺には、他にも流域治水やグリーンインフラ、Nature based Solutionsの挑戦的な事例がたくさんあります。ぜひ一度訪れてください。


視察ツアーに関する詳細は以下のページをご覧ください。 https://www.reri.or.jp/studytour/



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